2015-07-16から1日間の記事一覧

小説『雨は降らない』 二話

鞄から飛び出してきたのは、胴体のない顔とやはり胴体の無い白い腕だった。「あぎゃああああ!」 生首の青い目がぎょろっと子供の視線とぶつかった瞬間、子供は逃げ出すわけでもなく、目的の食料を奪いとったわけでもなく、ただ、ふっと魂が抜けたようにゴロ…

2015.07.16『猫のこと』

家には猫がいるのですが、今日猫の調子が悪くて病院につれていきました。 鼻はしめりっけがない感じで、普段桃色の鼻がどぴんくに染まり、毛がびくびくと痙攣。そして、何かはっとしたようにかけだしたり、口をあけて息をはいてたり。 とりあえず、病院へと…

小説『雨は降らない』一話

彼は黒い髪に、猫と同じぐらいの鞄を背負っている人間だ。歩くたびに鞄の中からがさがさとした音が聞こえる。きっと、あの中にはおいしいご飯だって入っているのだろう。じゅるりと、必然的に子供の口元からよだれが垂れる。 やる事といえば、後は一つだろう…